モノレールの歴史

モノレールの始まり

モノレールは、一本のレール又は桁に跨ったり、ぶら下がったりして、人や物を運搬する交通システムで、世界で初めてのモノレールは、1824年にロンドンで木製の支柱に貨物をつるし、馬で牽引するシステムであったと言われている。19世紀後半から20世紀の当初には、アメリカやヨーロッパ各地で、蒸気式、電気式、ジャイロ式、ガソリンエンジン式など様々な形式のモノレールの建設が試みられた。このような状況の中で、1901年にドイツのブッパタールに建設された懸垂式のモノレール(ランゲン方式)は、現在も活躍中である。

日本でのモノレール導入の取組

日本では、20世紀前半にも色々なモノレール構想はあったが実現せず、1951年に、東京豊島園内に約200mの円周路線を懸垂して運行された遊具としてのモノレールが建設され、1957年には、東京都交通局により、上野公園内に懸垂型のモノレールが、路面電車に替わる都市交通手段の実験線として建設された。

日本で最初に、本格的公共交通機関として建設されたモノレールは東京モノレールで、東京オリンピック開会(1964年10月)直前の同年9月に、浜松町駅・羽田空港間で運行を開始した。このモノレールは、当時ドイツで開発が進められていたアルヴェ―ク式モノレールの技術を導入して建設されたものである。

1960年代には、このほかにも、奈良ドリームランド、犬山遊園、読売ランド、名古屋東山動物園、向ケ丘遊園、横浜ドリームランド、姫路市などで、海外からの技術導入や日本企業独自の開発などにより、様々なタイプのモノレールの建設が行われた。今、モノレールというと、軌道桁に跨ってゴムタイヤで運行される跨座型モノレールとメタル製の軌道桁にぶら下がりゴムタイヤで運行される懸垂型モノレールに大別されるが、いずれも過去に試みられた様々なタイプの中から淘汰されてきたものである。

日本モノレール協会の設立と都市モノレール制度の確立

1964年には、一般社団法人日本モノレール協会が設立され、官庁、ユーザー、メーカーの間に立って、モノレールが都市交通機関として採用されるための技術的、政策的研究を行うとともに、都市モノレールの実現促進を図ることとなった。これらの研究は、1970年に大阪で開催された万国博覧会の場内輸送機関として整備された日本式跨座型モノレールとして、また、同年開業した懸垂型の湘南モノレールとして成果を結んだ。

当時の日本では、モータリゼーションが急速に進み、道路交通渋滞解消が喫緊の課題となっていたことから、道路整備を所管する建設省は、モノレールを道路交通混雑解消手段のひとつとして活用していく方針を定め、モノレールの技術開発を進めるとともに、その推進のため、モノレールの柱や桁などのインフラ部を道路施設として建設し、そのインフラをモノレール事業者が占用して運行する制度を1974年度に創設した。

また、それに先立ち1972年に議員立法により、「都市モノレールの整備の促進に関する法律」が制定され、この法律に基づくモノレールを「都市モノレール」と称し、国は、この整備を促進するために必要な財政上の措置等を講じるとともに、道路管理者は、このモノレールの円滑な建設のため十分な配慮をすることとされた。

都市モノレールの発展

この立法と補助制度制定以降、全国で都市モノレールの建設がすすめられ、現在、日本では、全国10か所、路線総延長で約112㎞のモノレールが運行されている。また、日本式跨座型モノレールは、国内での成功を背景に、海外でも、中国重慶、シンガポール・セントーサ、ドバイ、韓国大邱で建設されることとなった。

モノレールの種類

モノレールと都市モノレール

1本のレール(軌道)に跨り或いは懸垂して人、物を運搬する施設を一般にモノレールと称しており、都市交通施設としてばかりでなく、遊戯施設、観光施設、農業施設などとして幅広く活用されている。

このモノレールを、都市交通機関として積極的に整備を進めるため、1972年に「都市モノレールの整備の促進に関する法律」が成立した。この法律第2条で、「都市モノレール」の定義として、「主として道路に架設される1本の軌道桁に跨座し、又は懸垂して走行する車両によって人又は貨物を運送する施設で、一般交通の用に供するものであって、その路線の大部分が都市計画区域内に存在するものをいう」とされており、この定義に該当するモノレールは都市モノレールと称されている。

跨座型モノレールと懸垂型モノレール

モノレールの型式は、跨座型(こざがた)と懸垂型(けんすいがた)に分けられる。跨座型は、車体の重心が走行軌道の上にあるもので、1本の走行軌道に車両がまたがって走行する方式のものである。また、懸垂型は、車体の重心が走行軌道の下にあるもので、走行軌道を走行する台車から車体が垂下されている方式である。
跨座型
  • 跨座型
  • 跨座型
懸垂型
  • 懸垂型
  • 懸垂型

大形モノレール、中形モノレール、小形モノレール

現在日本で開発されているモノレールは、車両及びシステムの規模等により、大形モノレール、中形モノレール、小形モノレールに分類される。小形モノレールは、大形モノレールの実績をベースに、車両を規格化、小型・軽量化したもので、車両および軌道構造物を含む全システムの仕様の簡素化、総建設費と運営費の低廉化を図ったもので、大形モノレールに比べ約半分の費用で建設が可能である。

また、軌道や支柱、駅舎などの地上設備も簡素化し、幅員ほぼ18mの道路へも導入が可能であるほか、最小曲線半径も小形モノレールでは35m(内軌)となり既成市街地の道路空間に合わせた柔軟な路線設定が可能である。

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